Absence of Cerebrospinal Fluid Pleocytosis in Encephalitis
Ralph Habis, Anna Kolchinski, Ashley N Heck, Paris Bean, John C Probasco, Rodrigo Hasbun, Arun Venkatesan
Clinical Infectious Diseases, ciae391, https://doi.org/10.1093/cid/ciae391
要約
背景
脳炎の早期診断には、髄液(CSF)中の白血球増加(≥ 5 cells/µL)などの神経炎症の兆候を特定することが重要です。しかし、自身免疫性脳炎を中心に、脳炎においてCSF白血球増加が見られないケースも報告されています。本研究では、CSF白血球増加の有無に関連する臨床特性と結果を調査し、脳炎の迅速な診断と管理に役立てることを目的としました。
方法
この後ろ向き研究では、全原因脳炎の成人患者597人の初期CSFプロファイルを比較しました。
結果
597人中、446人(74.7%)がCSF白血球増加を示し、151人(25.3%)が示しませんでした。CSF白血球増加は感染症例で多く見られ(200/446, 44.8%)、また、主に抗NMDAR脳炎から成る自己免疫性脳炎の59例(13.2%)も含まれていました。一方、白血球増加が見られない群は、感染性脳炎(47/151, 31.1%)と自己免疫性脳炎(38/151, 25.92%)の割合がほぼ同じでした。感染性脳炎患者のうち、47/247(19%)は白血球増加が見られず、HSV-1脳炎患者では18/76(23.7%)が該当しました。白血球増加がない場合、アシクロビル投与率が低下(47.7% vs. 71.1%, p<0.001)しましたが、入院時の重症度や死亡率、長期入院とは関連しませんでした。
結論
CSF白血球増加は脳炎診断の重要な基準ですが、全原因脳炎患者の25.3%、およびHSV-1脳炎患者の23.7%で初回腰椎穿刺時に白血球増加が見られません。脳炎が疑われる場合、白血球増加の有無に関わらずアシクロビルの投与開始を遅らせるべきではありません。